圧倒的画力の台湾人作家常勝が贈るアクション系歴史ファンタジー『オールドマン』。年老いた奇術師と義足義手の女戦士が不老の女王に挑む!

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作者:常勝 タイトル:オールドマン1 制作:台湾 ジャンル:歴史/ミステリー/ファンタジー ページ数:176ページ
作者:常勝
タイトル:オールドマン1
制作:台湾
ジャンル:歴史/ミステリー/ファンタジー
ページ数:176ページ

17世紀イギリスを思わせるとある国。女王が君臨する王宮の牢獄に、ある年老いた男が投獄されている。どうやら彼は重い罪を犯した重罪人であるらしい。独房を見回りにきた大臣に老人が語る。

独房の老人
独房の老人

「この蟻一匹抜け出せぬ王宮の牢獄から…
次の満月の夜跡形もなく消え去ってみせよう…」

満月の夜、女王その人と衛兵たちが老人の独房を取り囲む。老人の口から女王に向けて発せられた言葉は、驚くべきものだった。

「母上…」

老人の娘と見まごうべき女王が、老人の母親だというのだ。

老人と女王
老人と女王

彼らの間にかつて何があったのかは定かでない。しかし、老人によれば、女王は他者の若さを奪い取り、不老の女王となったのだという。彼は、女王がいずれ代償を払うことになると告げると、鉄格子をすり抜け、予告通り、牢獄から跡形もなく姿を消してしまう……。

鉄格子をすり抜ける老人
鉄格子をすり抜ける老人

もぬけの殻の独房の中に抜け穴を見つけ、慌てふためく衛兵たち。さてはこの抜け穴から脱獄したのか!? 扉の鍵をかけることすら忘れ、衛兵たちが忽然と姿を消した老人を探しに出かけると、老人は内側から扉を開け、悠然と独房の外へと抜け出す。ビリー・オールドマン、奇術師。それが老人の正体だった。

ビリー・オールドマンの目的は女王に復讐を果たすこと。彼は、手足を切断されたまま独房に入れられ、彼と同じくらい強い復讐心を女王に抱く女戦士レベッカを助け出し、ついに王宮の外へと逃れる。やがて彼らは、画家であり、医師であり、人体解剖師であり、発明家であるヴィンセント、そして予言者の少女ナイロを仲間に加え、女王に対して反逆の狼煙をあげる……。

レベッカ
レベッカ
ヴィンセント
ヴィンセント
ナイロ
ナイロ

ということで、今回紹介するのは、台湾のマンガ家常勝の『オールドマン』第1巻。台湾のマンガ家と言えば、1990年代に『モーニング』で活躍していた『東周英雄伝』の鄭問(チェンウェン)を思い出す人もいるかもしれない。あの筆遣いは今見ても衝撃。知らない人がいたら一度見ておいたほうがいい。台湾という土地柄と関係があるのかないのか、今回紹介する常勝も凄まじい技量の持ち主。この絵はどこから来たのだろうと思っていたら、1977年創刊のアメリカの雑誌『ヘヴィー・メタル』に影響を受けたのだとか。『ヘヴィー・メタル』と言えば、あのメビウスなども創刊に関わったフランスの雑誌『メタル・ユルラン』のアメリカ版として、日本マンガの多くの巨匠たちにも衝撃を与えた伝説的な雑誌。なるほど、この重厚な画面はそこから来たのか。白黒の本文も十分すごいが、表紙や各章扉はもはや超絶技巧レベルである。

この巻の白眉は、何と言っても女戦士レベッカ! どんな罪を犯したのか、手足を切断され、ダルマ状態で投獄された絶世の美女。差し伸べられたオールドマンの救いの手に噛みつく勝気さがまたいい。オールドマンに連れられ脱獄に成功すると、医師でもあり、発明家でもあるヴィンセントの助けを借り、彼女は機械の手足を手に入れる。こいつが「筋肉の代わりにエアバッグを入れ関節には火薬を仕込ん」だという代物。機械仕掛けの「戦いの女神(ワルキューレ)」として生まれ変わったレベッカの、文字通り人間離れした爽快なド派手アクションについては、実際にページをめくって堪能していただきたい。

ビリー・オールドマンと女王の間にかつて何があったのか? オールドマン一行を何が待ち受けているのか? 物語はまだ始まったばかりである。

レビュアー:原正人

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