インドネシア発! お掃除女子の憂鬱!? 片づけられないイケメン王子との胸キュン同棲生活―『私と恋するナマケモノ / 1』

主人公のアリンは高校生。学業の傍ら、のんびり屋の母と一緒に下宿屋をきりもりしている。特技は掃除。何もかもがピカピカになっていないと気が済まない、そんな年の割には堅実すぎる乙女。 ある日、彼女の下宿に何の前触れもなく超絶イケメンが舞い降りる。彼の名はアルファン。実はアリンの同級生で、イケメンの上に成績優秀、さらにバスケ部のエースというハイスペックぶり。もちろん学校一のモテ男。当然性格は悪い。 だが、彼には唯一欠点があった。そう、彼は片づけられない男だったのだ。 アルファンの父親はアリンの父親の上司。アルファンのだらしなさにほとほと手を焼いた両親が、アリンのお掃除女子ぶりを聞きつけ、息子の面倒をアリンに押しつけてしまうことにしたのだ。こうして、ひとつ屋根の下、うら若き男女の共同生活が始まる。校内一のイケメン王子の傍若無人な振る舞いに、ことあるごとにイライラ、ドギマギし、翻弄されまくるアリン。どうなるアリン!? いや、これ楽しすぎでしょ。海外の作家が描いた日本マンガっぽいマンガは、日本人からするとどこかしら違和感があるものだが、この作品ではその違和感がいい感じに振り切れている。随所にツッコミポイントがあるのだが、それがマンガとして笑えるようになってるのがすごい。これは翻訳がいいのか、そういう箇所のセリフがまた、読者のツッコミを事前に察知したかのような感じになっていて、思わず笑っちゃうのである。 だが、このマンガは決してギャグマンガではない。『ストップ!! ひばりくん!』とか『らんま1/2』といった居候ものの遺伝子を受け継ぎつつ、隙あらば『君に届け』的な胸キュンまでやってしまおうという、王道的な学園ラブコメマンガなのだ。日本から遠く離れたインドネシアで日本マンガタッチのラブコメが……。と考えると、感動もひとしおな一作である。実際、この作品、最初から最後まで、ニヤニヤ、キュンキュン、オイオイが止まらない、とてもラブコメらしいラブコメなのだ。一応第1巻ということになっていて、続きもあるっぽいが、ストーリーはこれ1巻でもある程度完結している。日本の目の肥えた少女マンガ読み、ラブコメ読みには、絵の粗さが気になってしまうかもしれないが、そこは青田買いくらいの気持ちで、まずは試し読みしてみてはいかがだろう。 レビュアー:原正人 作品紹介 無料試し読み

台湾発、新感覚の妖怪マンガ『203号室の妖怪さん』。夜の高校を妖怪たちが跋扈する!

妖怪が見える以外はごく普通の高校生・鳴(ミン)は、ある日、教室に忘れた宿題を取りに夜の学校に忍び込む。二年三組の教室に入ると、そこには我が家のようにくつろぐ妖怪の姿が……。 何も見なかったことにして逃げ帰った鳴だが、次の日から二年三組(203号室)に住む妖怪・孰湖(ジュクコ)と、隣の教室に住む酸與(サンヨ)の二人につきまとわれることに。 鳴は平和な高校生活を取り戻すため、妖怪たちのわがままに付き合うことに。ちょっと噛み合ない、人間と妖怪の不思議な交流が始まった……。 日本でも妖怪をテーマにしたマンガは新旧問わずたくさん出版されているが、この作品に出てくる妖怪はひと味ちがう。中国の奇書『山海経』に記された妖怪が登場するのだ。『山海経』は古代中国の地理書だが、妖怪や神々の記述も含まれており、中国神話の基礎資料となっている。日本の作品では、小野不由美の人気小説シリーズ「十二国記」が『山海経』をモチーフにしている。 『山海経』の妖怪をどう擬人化しているのかが、この作品の見所だ。たとえば、準主人公の孰湖は人・馬・鳥・蛇の四形を一身に持つ妖怪だが、巨大な蛇の尻尾と鱗を持つ青年というだいぶマイルドな姿形に描かれている。それに対して酸與は四枚の翼と六つの目を持つという設定だが、髪先が翼のように描かれているだけかと思いきや、頭の複数の目を開いておどろおどろしい姿になることも可能というギャップが面白い。 冒頭にはこの二人と一匹しか登場しないが、物語が進むと、他の妖怪たちも登場する。どんな妖怪が描かれているのかは、ぜひ本編で確認してほしい。 妖怪たちは日本の妖怪とだいぶ違うが、物語の舞台となる高校での学校生活は、部活もあり、掃除の時間もありと日本のそれとあまり変わらない。日本の読者も違和感なく入りこめるだろう。 基本的には、自由奔放な妖怪たちと、彼らに振りまわされる鳴のドタバタ劇が繰りひろげられる本作だが、種族の違いから来る擦れちがいや、妖怪が見えるという特異体質から周囲の人間と距離を感じる鳴の孤独、といったシリアスな側面も描かれる。特に終盤には、思わずホロリとくる展開もあり、一冊完結とはいえ、読み応えのある作品となっている。  レビュアー:mayka 作品紹介 無料試し読み